肺がんの患者様へ、プラスアルファの最先端がん治療
肺がんの症例報告
リンパ節転移とがん性胸膜炎を認めた肺がん(腺がん)の患者様に樹状細胞がんワクチン療法をを行ったところ、縮小腫瘍マーカーの低下と胸水の減少を認めました。
Introduction
進行した肺がんは、発見された時には既に手術の適応にならない場合が多く、化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療が行われるが、その奏功率は決して高くない。
特に、肺がんの中でも症例数の最も多い腺がん(非小細胞がんの一つ)は、抗がん剤や放射線が奏効しにくいがん種として知られている。
また、肺がんに対する抗がん剤は、一部を除いて強い副作用を示すものが多く、患者様のQOLを著しく低下させることも少なくない。当然予後も不良(第IV期非小細胞がんの1年生存率50~60%、2年生存率25%)である。
我々は、転移を有し、胸水貯留も認め、標準の抗がん剤も無効、あるいは副作用のために施行できなくなった、進行した第IV期肺腺がんの患者に対して、抗がん剤治療を途中で中止、あるいは副作用の少ない経口(飲み薬)の抗がん剤に変更し、姉妹クリニックで樹状細胞がんワクチン療法を行ったところ、良好な治療効果を得たので報告する。
Case
50歳代、男性。
診断名 : 肺がん(腺がん、T4N1M0、StageIV)、がん性胸膜炎
既往歴 : 特記事項なし。家族歴:特記事項なし。
現病歴 : 上記診断のため手術適応なし。
2007年1月~ 化学療法(CDDP+ジェムザール)を行うも奏功せず
2007年3月 胸膜癒着術施行
2007年4月~ さらなる化学療法(CDDP+CPT-11)を開始するも副作用のため中断せざるを得なくなり、予定通り投与はできなかった。
2007年5月~ 姉妹クリニックにて、人工抗原を用いた樹状細胞がんワクチン療法を開始し、2008年3月までの間に、合計13回の樹状細胞ワクチン投与を行った。
上記グラフに示すように、2007年7月時点で、腫瘍マーカーCEAは著明に低下(213.9 → 25.3)、さらにCTにて、腫瘍の縮小ならびに胸水の減少を認めた。
また、現在まで長期間観察を続けているが腫瘍マーカーも10台で安定し、CT画像上も腫瘍の再増殖等認めず、安定している。
Discussion
人工抗原樹状細胞がんワクチン療法とは?
がん細胞は正常細胞にはない特徴的な印(がん抗原)を持っている。人工的に合成したがん抗原(人工抗原)を試験管内で樹状細胞パルス(取り込ませること)して、それをワクチンとして患者様に皮内投与する治療法。
投与された樹状細胞は、がん抗原をリンパ球(主にTリンパ球 : がんを攻撃する兵隊)に教え込む。がんの印を教えられたリンパ球は、全身を廻り、がん組織を見つけて攻撃するのである。過去の世界中からの報告、我々の経験も含めて、重篤な副作用はない。
最近、抗がん剤と免疫療法との併用について学会等でも議論されているが、特にジェムザールやTS-1は免疫療法と非常に相性の良い抗がん剤であるといわれている。
今回のケースは、通常よく使用される副作用の強い抗がん剤を数種類使用するも効果なく、腫瘍の増悪、さらなる転移を認めた症例に対して、比較的副作用の少ない経口(飲み薬)の抗がん剤TS-1単独に樹状細胞ワクチン療法を併用し、腫瘍の消失ならびに著明な縮小効果を認めた。
低用量の抗がん剤治療(メトロノーム化学療法)は、重特な副作用がなく、免疫力を下げずに、がんに栄養を与える「腫瘍血管」を攻撃して、がんを「兵糧攻め」にする。さらに、低用量抗がん剤は、悪玉免疫(制御性T細胞等)を抑えることにより、がんを攻撃する免疫(抗腫瘍免疫)を上げて、樹状細胞ワクチンが働きやすい環境を作ることも報告されている。
今回の抗がん剤治療は「メトロノーム化学療法」の範疇に入るか否かは議論の余地があるが、副作用が少なく、継続可能な用量の経口抗がん剤TS-1と樹状細胞がんワクチン療法の併用で、全身に転移を伴う肺腺がんに対して著効が認められた症例である。
樹状細胞ワクチン療法と+TS-1の併用療法が、全身に転移を伴う、他治療無効の肺腺がんに対して、安全で治療効果の高い治療法であることが強く示唆された。
最先端の免疫療法・がん治療ならミッドランドクリニックトップへ -> 症例報告 -> 肺がんの患者様へ、プラスアルファの最先端がん治療

